多くの数学者がプレゼンテーションツールとして LaTeX のクラスファイルである Beamer を利用している.LaTeX ソースコードから PDF 化することで,数式の表示はもちろんのこと,基本的なテーマや段階的な表示にも対応している.一方で,PDFは印刷物を主体として設計されているため,動画や対話的な表現を行おうとすると若干の手間を要する.
本講演では reveal.js について提案する.reveal.js は,JavaScriptをベースとしたプレゼンテーションツールである.HTMLを記述し,Webブラウザで表示を行う.KaTeX や MathJAX を利用することで,LaTeX入力による数式の表示にも対応している.基本的なテーマや段階的な表示にも対応しているだけでなく,動画や対話的な表現との親和性も高い.GeoGebra や p5.js 等の JavaScript ライブラリを取り込むサンプルについても解説する予定である。
数学に限らず,一般に自然科学系の科目でも,学生に型を習熟させるために,しばしば乱数などを用いて数値を変えた演習問題を多数用意しなければなりません。そのために以前,私は fp パッケージや ifthen パッケージ, automultiplechoice スタイルファイルなどを紹介しました。さらに,数式の簡約化のために,濱田氏が外部の数式処理システムを連携させる方法も紹介しました。
濱田氏の手法はとても秀逸でしたが,コンピュータへの負荷が大きく,多用すると動作速度の低下を招く弱点がありました。有理数の約分や,自然数の平方根の整理程度の処理であれば,マクロでできてしまいます。ですので,簡単な処理はマクロで済ませませんかというのが,今回の私の講演での提案です。併せて,解答の表示・非表示のコントロールなどの小道具的なマクロの提案も行いたいと思います。
去年の MSFD36 が台風のため見送りになったことから,マクロにさらに改造を加えました。また,今回提案するマクロは「コピーレフト」で公開しますので,使えそうなものは各自,自由に切り出し・改造してお使いください。
講演者は、CES-Alpha の主要開発者として、数学演習問題の自動採点に加え、2024 年にコード演習問題の自動採点システムを開発しました。現在、CES-Alpha は Python、R、MATLAB のコードの自動採点に対応している。本講演では、CES-Alphaにおけるコードの自動採点のためのデータ構造、採点の仕組み、セキュリティ対策について解説する。さらに、東京女子大学や東北大学における授業への導入効果について報告する。
精度保証付き数値計算は、近似解だけでなく、その解の数学的に厳密な誤差評価をも計算しようという数値計算法の総称である。丸め誤差の評価と関数の値域の評価を行う区間演算、方程式の解の存在を示すための不動点定理、自動微分を含む種々の特殊な演算を組み合わせて行われる。
講演者は、2013年頃から、C++を用いた精度保証付き数値計算のためのライブラリkvを公開している。本講演では、精度保証付き数値計算の概要とともに本ライブラリの概要を紹介する。また簡単な応用例についても紹介する。